経済政策を歴史に学ぶ

経済政策を歴史に学ぶ [ソフトバンク新書]

経済政策を歴史に学ぶ [ソフトバンク新書]

帯のアオリ「ポスト小泉にヒントは過去にあり!」は、ひどい煽りだ。(こんなことは言っていない気がするなぁ。ヒントってのがずるよな。)

  • ブル&ベアなマーケットのようなフィナンシャルな現象=循環的要因
  • 人口分布や文化的醸成によるような社会の変化=構造的要因

二つの性格に分けることで、景気のテコ入れの正しい選択を考えてみようという書籍。筆者:田中秀臣は不況離脱の遅れは、すべてこの二つの要因を取り違えたからだとする立場である。

前半部では日本の経済学者(エコノミスト)への批判から始まっているが、後半部の近代以降〜昭和恐慌に対する当時の経済学者の論を俯瞰する場面にどのようにこの批判が投影されているかが不明である。私が途中で飽きてしまって読み込みが甘いのではあるが、だからナニ?的になってしまっている。*1

筆者の主張は「リフレ(低くコントロールされたインフレ状態)を保つことが重要」と一貫しているわけだが、それがなぜに正しいのか示されていないのが、そもそも疑問である。経済学を勉強していない私にとっては、リフレ=みんなハッピーって構造が理解できない。

そもそも経済学というのは、産業革命以後の急速な社会成長とともに育ってきた学問であると思う。そんな特殊な環境で育まれた学問が、現代の成長横這い期を解釈するのに適した学問であるとは思えない。19世紀後半に構造主義のような社会を解釈するための学問というものが新しい形(当時に流行っていた公理系の数学を模倣した描き方)で台頭したように、21世紀の社会を描き出す解釈が必要だと思う。しかし、経済学の出自であるが金融工学というまるきりテクニカルな手法がもてはやされてしまい、才能がそちらに取られてしまったのではないかと、素人ながら心配してしまう。

というわけで、なんでリフレ状態がハッピーをもたらすんですか?本当にリフレ状態ってのは続くものなんですか?っていうテーマで一筆書いていただけるとありがたいなぁ。

*1:名目利子率とか名目成長率とか自然利子率とか、経済用語がなんの説明もなく出てきてしまって、ぜんぜんわけがわかりません。